「言えないこと呑んで溺れかけている
   黙るより他思いつかず 決めたんならそれもいいだろう」



・“いい歌”オーラが蓋をしても漏れ出ているといった感じですが、『誕生』と同じく
 ちょっと優等生すぎる気がして、ひねくれ者の私としては、素直に好きになれません。
 もう一点、曲の最後に入っている笛の音や実際コンサートでご本人が吹いていた笛は、
 いわゆる体育の先生が首から下げているようなホイッスル。わたしがこの曲から
 イメージする笛はリコーダーやオカリナの類。その違和感が拭えないことからも、
 素直に好きになれません。
 マイナス発言ばかりしましたが、あくまで個人の感想です。大前提として非常に
 素晴らしい歌であることは間違いありません。万人におすすめできる超絶な良曲です。

・二人称が“あなた”ではなく、“おまえ”であることが、この曲が単に優しいだけの曲
 ではないというちょっとした緊張感と絶妙の距離感をもって全体を律しているように
 思います。

・言葉にできない、言葉にしないほうがよい、だから風の笛を吹くのであって、
 風の笛が具体的に何であるかは考えないことに意義がある(本来であれば
 そんな意義すら不要)。
 風の笛を吹いたら万事解決するわけではないが、なぜか安心する。
 理屈ではなく、“なぜか安心する”という空気を、それでもまた言葉でつくり
 だしているところが、中島みゆきの真骨頂。


 中島みゆき / ALBUM 『常夜灯』 2012.10.24 他