「あなたは教えてくれない
  私もたずねたくはない
  夕暮れの本屋は風まかせ
  つらい名前のページをめくる」



何百とある中島みゆきの楽曲の中で、
私が最も素晴らしいと思う曲です。

ぜひ歌詞カードを読みながら聴きたい、小さな物語。
「この世に二人だけ…」 そう願うのは、
八百万の恋歌の極地だと思います。

折れてしまいそうなほど繊細なメロと、ほのかに過激なサビ、
「心ならずも」という一言でそれら全てを包括して調和する
バランス感覚は、常人では持ち得ないものです。
完璧です、この曲。


ちなみに、
「あなたと同じ苗字が滲む」とはどういうことか?

絵本作家の恋敵はすでに同じ苗字になっており、
表紙に書かれた著者名が涙で滲んで見えた
という解釈が自然かと思いますが、
絵本(恋敵の心)を読んでみると、
わたしが心底望んだあなたと同じ苗字になるという淡い未来が、
もう滲んで見えない、そう思えてくる
自分は、とてもじゃないが、敵わない、そう思えてしまう
だから「嫌いになどなれるはずない あなたの愛した女だもの」
と吐露するに至るともとれるのではないでしょうか。


 ALBUM 『予感』 1983.3.5 他 / 中島みゆき 



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